現在に至るまでのキャリアパス
国内大学新卒採用より2000年に入社後、まずニューヨークで行われた新入社員向けテクノロジー研修プログラムに参加しました。帰国後は株式と債券のトレーディングフロアで、主にトレーディングに使用するデスクトップ環境とアプリケーションのサポート業務全般を担当しました。当時テクノロジーは日々複雑になり、開発されるアプリケーションも増えていたため、より専門的なサポート業務の必要性が増していたことを覚えています。
入社3年後には、債券とFX取引のアプリケーションに特化したサポートチームの一員になり、営業やトレーダーがトレーディングフロアで使用するアプリケーションのサポートに携わりました。日々の大半は複雑なアプリケーション関連のトラブルシューティングや新規アプリケーションの導入支援に充て、各部門のアプリケーションが問題なく作動するよう様々な対応も講じていました。2006年になると、サポート業務から社外のテクノロジーの導入や統合に関わる仕事にシフトし、ここでの経験を経て新しいことを学びました。社外の人々との新たな出会いもあり、それまでに培ったものとは異なる様々な能力を伸ばすことができたと思います。
2008年もまた新たな変化の年となり、アプリケーションのサポート業務をマネージャーとしてまとめるという、これまでよりも大きな責任を任されました。以前に小規模なチームをまとめた経験しかなかった私にとっては挑戦でしたが、その後数年を経て少しずつ担当エリアを増やし、アジア地域全体をカバーするようになりました。担当する部門についても増えていき、債券とFX取引に加えて、オペレーション部門や株式部門のサポートも行うようになりました。
2013年にはサポート業務の全社的な体制が確立され、アプリケーションのサポートに関してはすべてテクノロジー部門に集約されました。私はその際新設されたQuality Assurance and Production Managementグループのアジアの統括責任者を任され、2020年には同部門がリアルタイム金融サービスアプリケーションの技術サポート、システムの安定性、監視機能と信頼性の管理を担うReliability & Production Engineeringグループへと拡大し、現在に至ります。
2018年には、日本におけるテクノロジー部門長およびCIO(チーフ・インフォメーション・オフィサー)に就いたことに伴い、任務が開発からインフラストラクチャー、イノベーション戦略などテクノロジー全般に拡大し、新たな挑戦へと広がりました。社内の様々な技術を点で結んで全体像を作り上げることにやりがいを感じ、部内外のステークホルダーと共にテクノロジーを活用していかにリスクを減らし、コストを最小限に抑え、収益の向上に貢献できるかの取り組みを行っています。
モルガン・スタンレーに入社して一番印象に残っている仕事・案件・出来事
金融業界に困難をもたらすのはマクロ経済や政治的要因だけではなく、時には天候でさえ影響を及ぼします。2012年にニューヨーク周辺を襲った過去最大規模のハリケーンサンディが一例と言えるでしょう。当時嵐に見舞われることが予想された地域には、当社のオフィスのほか、世界各地で利用しているインフラを敷設したデータセンターがあったため、テクノロジーチームが連携してすぐに対策を講じなければなりませんでした。第一に求められたのはグローバルに展開する当社の業務のいずれに対しても影響を最小限に抑えることでしたが、併せて交通網への影響を予見し社員を移動させ、電力に影響が生じた場合の対処を考えること、また、サーバーやアプリケーションを問題なく稼働させる対策を練るなど、様々な対応を迫られました。この一連の出来事で、金融業界が世界各地に広がるテクノロジー機能にどれほど依存しているか、そしてテクノロジーが世界の金融業界でいかに重要な役割を担っているかを実感しました。
あなたにとって働くモチベーションとは
金融業界とテクノロジーは概してどちらも複雑で、その変化のスピードも早く、解決すべき課題に終わりがないのだと感じます。職場においては、対処すべき問題を様々な手掛りを元に解決していくことが自分の仕事であり、子どもの頃からパズルが好きだった私にとって、こうした考える作業を重ねていけることが大きなモチベーションのひとつとなっています。モルガン・スタンレーがグローバルに展開していることもまた、やりがいに繋がっています。実際、朝目を覚ますと夜の間に変化があることが多く、新たに取り組まなければならない課題や、市場での対処すべき新しい出来事が発生するなど、毎朝何かしらの驚きがあります。こうした変化は一見難しい問題と写りますが、すべてが新しいことを学ぶ機会となり、モルガン・スタンレーに勤めて20年以上になりますが、毎日こうして新たに学ぶことがあるということにやりがいと魅力を感じています。また、こうした問題解決や新しい取り組みに、聡明で才能豊かなチームメンバーと連携して対処する機会があることも、日々職場に来る楽しみとなっています。
プライベートタイムの過ごし方
家には子どもが3人と犬が1匹いますので、仕事以外の多くの時間は家族と共に過ごす時間に充てており、散歩に出かけたりスポーツをしたりしています。仕事が忙しいなかでも家族と過ごす時間を持てるのはなぜかとよく聞かれますが、実はテクノロジーの恩恵によって、私にとっての適切なバランスが取れているのだと思います。世界各地にいる多くの同僚と仕事をしているため、時には夜遅く、あるいは早朝に電話で話さなければならないこともあります。ただ、職場にいなくても自身のコンピューターにアクセスできる環境があるので、必要な時には家から接続することで、効率的に時間を使うことができています。仕事と家庭のバランスをうまく取ることはなかなか難しい場合もありますが、それと同じだけ得るものが多いと感じています。
学生へのメッセージ
モルガン・スタンレーにはやりがいに満ちた様々な機会があり、業界での(グローバルな)競争力を保つ上でも、若手社員も含めたすべての社員のアイディアや意見を重視しています。私たちは、新入社員の皆さんの考えが革新的な取り組みに繋がることも多いと考えているので、皆さんには入社直後から、自身のアイディアを伝え貢献することが求められます。チームワークを重視する点もこの会社の特徴であり、チームや部署全体で皆さんの成功に向けて様々な形でサポートをしてくれるでしょう。
私から皆さんにアドバイスしたいのは、会社について調べることに時間を惜しまず、面接の時には出来るだけ多くの質問をして欲しいということです。皆さんにとって魅力のある価値観や、そこでなら成功できると思える企業文化を有し、何よりも自分らしくいることのできる、そして成長のできる環境がある会社を見つけ出すことが重要だと思います。