株式調査部の株式アナリストとしてJ-REIT(日本版不動産投資信託)や不動産業界等を担当。一橋大学商学部を卒業後、複数の金融機関勤務を経て2016年に入社。
現在の仕事内容について教えてください。
株式アナリストとして、産業の動向を分析したり、個別企業の将来の株価見通しについてのレポートを書くなどしています。そうしたレポートを基に機関投資家の方々と話し合い、お客様のみならず自身の業界や株式市場に対する理解が深まっていくことは、この仕事における醍醐味の一つではないかと思います。
これまでの経験で現職に役立ったと思われる要素があれば教えてください。
入社直後に社内で行われているアナリスト向けの研修が役に立ちました。世界各地の経験豊富なアナリストから分析の仕方や効果的な仕事の進め方等について学ぶことができたほか、海外の同僚達と証券会社を取り巻く事業環境や今後のアナリストのあるべき姿等についても議論しました。このプログラムを通して学んだことは、日々の業務の中で自分の向かう方向性を考える上で大きな指針になっていると感じています。
Creative Thinking(創造的思考)をどのように養っていますか。
分析の切り口を考える上で、海外のREIT・不動産業界のアナリストの分析は常に参考にしています。REITや不動産業界の事業内容は地域による大きな違いが無いにもかかわらず、その分析手法は担当アナリストによって違うことが少なくありません。海外の同僚が書いたレポートには基本的に目を通して、彼等の分析を日本のREIT・不動産業界に当てはめた時にどのような結論が得られるかということは常に考えるようにしています。
証券業界以外での経験は現職への取り組み方にどのような影響を与えていますか。
大学卒業後日本の銀行に就職し、そこで法人営業や不動産業向けの与信管理等に携わった後、より深く産業や企業について勉強したいとの思いから証券会社の株式調査部に移籍しました。J-REITや不動産業界は財務レバレッジが他の産業と比べて高いこともあり、銀行の融資姿勢が焦点となる局面が少なからずあります。このような時に、銀行内の論理や考え方を自身のこれまでの経験に基づきイメージできるということが、私の強みになっていると感じています。
金融・株式・不動産業界のどのような指標に着目していますか。
J-REITや不動産業界の株価を見通す上では、不動産価格の見通しの変化を捉えることが重要と考えています。過去においては、J-REITや不動産業界の株価のトレンドの変化は、不動産価格の見通しの変化によって引き起こされてきたためです。ただし、不動産価格の見通しが変わる要因はその時々によって異なります。1990年には旧大蔵省による総量規制の導入がきっかけで不動産価格の下落懸念が高まり、2013年には日本銀行による金融緩和期待で不動産価格の上昇期待が高まりました。このため、J-REITや不動産業界の株価を予想するためには不動産業界のファンダメンタルズのみならず、その時々の政府の考え方やマクロ経済の動向についても広く目を配っておくことが重要と考えています。
モルガン・スタンレーの企業文化について教えてください。
私がモルガン・スタンレーに入社して最も驚いたのは、アナリスト間や部門間での連携が非常に密に行われている点です。例えばREIT(不動産投資信託)・不動産業界のアナリストチームでは、グローバルで月に3回程度電話会議を行い、各国の不動産市況や株価の動向、投資家の声について情報交換を行っています。東京オフィスにおいても他のアナリストはもちろん他部署に気軽に相談できる雰囲気があり、組織としてのシナジー効果を発揮しやすい文化があると感じています。